第78回～79回の演習コースは配布モチーフの表現です。
木製ボビン（糸巻き）・インテリアトレイ・レモンスライスを自由に表現します。
絵画には、静物画、風景画、人物画などの種類があります。後、大切なものとして「構成画」「イメージ画」「抽象画」があります。その3つは前者の3つの絵画より、より自由な発想で作者の狙いがはっきりと出て、ある意味直接的な作品になります。
前回と本日は、「構成画」の中でも最もオーソドックスな「配布モチーフによる構成画制作」を行います。配布モチーフは普段のセッティングモチーフとは違い、おのおのに与えられるわけですから、その物の扱いが自由です。変形や合体、スケールの変化も思い通りにして描いて頂けます。ただし、どのような絵にしたいのかそのイメージをしっかりと持って描き進めないとまとまりのない、散漫な画面にもなり易いので注意が必要です。経験者はより自由に大胆に、今回が初めての方はゆっくりと構想を練って下さい。
本日は、きなちゃん、マサヒロさん、佐野さん、マーちゃん、スズキさんのご参加です！
早速きなちゃんの作品からご紹介いたします。
全5点で、それぞれにタイトルもついています。ディペイズマンの技法も駆使しています。
モノクロ写真の作品です。お気に入りのコラージュ作家（人間がテーマ）の作品を参考にしています。こちらのフォトコラージュでは全てモチーフを使いました。バーベキューの串や、トレイ内の宝石はご自身で加えました。文字も効果的に使われています。作品を入れるケースはクリアファイルではない方が良かったかもしれませんね。作品の展示について熟考するべき所です！タイトルも刺激的です。マグリットやエルンストなどのシュルレアリスム的な雰囲気があります。
木目を生かしてコラージュした作品と黒の台紙にコラージュした作品。
ほぼ同じ構図を違った技法で表現しているのが面白いですね。左の作品など板そのままの色が空間として成立しています。右のコラージュも先程のフォトコラージュとは別の複雑な構成があります。タイトルも刺激的です。作品のキャプションも用意される所など流石です。
こんな感じで制作しました！もはや工房のようです（笑）。
ドローイングです。
糸巻きの形を上手く使っています。軽快な作品で、観ていて楽しくなります。
コンセプトについて解説するきなちゃん。
いつもながら明快にお話されました！
マサヒロさんの作品です。
カンヴァスボードにアクリルで描きました。今回初参加で、セッティングモチーフが無く、自分で創造する面白さを感じ取って頂けたようです。ベースはコンピューターの基板にし、ICのようにレモンが情報を持って動く「レモンファクトリー（れもん工場）」のイメージです。小さい世界なのですがコンビナートのようなスケール感の大きい風景にも見えますね。よく見ると様々な工夫が成されています。見ていてとても楽しい作品です。
作品の解説をするマサヒロさん。
初参加と思えないくらい丁寧に説明をされました！
佐野さんの作品です。
レモンがカラカラに乾いたスライスレモンだったので水々しさを与えたかったそうです。ドライ＝乾燥の組み合わせです。トレイが捻じれているのが特徴ですね。デッサンもとても面白いです。浮遊感と奥行き感・左上は月のイメージです。
その後、通常授業を利用して制作し、このような作品になりました。密度が出ましたね。スライスレモンに穴をあけたことにより、全体の空間が通りました。前段階ではバックが少し単調でしたが、それも様々な要素が入る事によって解消されています。
マーちゃんの作品です。
ボードにアクリル・コラージュです。トレイのコピーをとり、上にビニールを貼るなど手を加えてスマホ化しています。糸巻きを糸電話にして、電話の進化の図式になりました。レモン・トレイの装飾にあった王冠・糸巻きでドクロの顔も作りました。電波の波形やスマホを持った手の写真のコラージュなど、様々な要素が上手く纏まり合った作品です。3つの糸巻きを顔にしたり、面白いです。
作品の解説をするマーちゃん。
スズキさんの作品です。
3つの構成です。ドローイングコラージュの技法を使われています。バックの模様はレモンの細胞になっています。2セット作られた手描きカードの１セットを全部貼るのが面白いですね。ドローイングもキレがあって面白いです。
レモンの細胞をテーマに描いたドローイング。コンセプトが伝わりますね！
作品の解説をするスズキさん。
今回、基本的な配布モチーフによる演習でしたがそれぞれの個性が出て良い作品が並んだと思います！このような仕事は普段の制作にも反映します。
また、ご自身で配布モチーフを用意して制作するのも面白いので是非チャレンジしてみて下さいね！
演習コース
第79回 演習コース（2019.12.7開催） 「配布モチーフの表現 その２」
