絵画技法 クロッキーのお話 Tweet 2015.02.03 by 哲雄先生 0 本日はクロッキーのお話です。 クロッキーというと、デッサンとは異なり短時間で一気に描き上げる、よく人物や動物を描く時に使う描写方法です。 このクロッキーは人物の構造を正確に把握している例です。 人物クロッキーは、アトリエヒュッテでもそうですが、最初は15分ポーズ、次に10分、最後は5分とポーズ時間を短くしていきます。 「そんな短い時間で人物画が描けるのかな?」と疑問に思われる方も多いですが勢いがついてくるとけっこう描けます。 しかしここで注意したいのは、「クロッキーはデッサンの練習ではない」という事です。 よくあるクロッキーの失敗作は、何とも情けない、弱弱しい線で描かれたものが大半です。 あれは結局、「デッサンの出だしの意識」で描いているからそうなるんですね。 デッサンとクロッキーはそもそも意味が違います。 のびやかなクロッキーの作例です。 クロッキーはとにかく「勢いのある線で」描きましょう。 素材は鉛筆・チャコペン・木炭・コンテなどが多いですがサインペン・筆ペン・水彩などもいい味が出ます。 場合によってはカンヴァスに油彩で人物クロッキーをしても絶対面白いです。 人物の、体の流れをよく観察し、それを、画面にどう表現するか。 構図をしっかり決めて、描画材料をまず、そっと紙にあてて、やさしく線を引くところから始めます。 その後、体の中の強調したい部分、首や肩、胸、腰、太もも、足という部位にさしかかったら一気に線を引きます。 そしてまた力を抜いて、また一気に力を入れて引きます。 それだけで非常に抑揚のある生き生きした線で描いたクロッキーが出来ます。 オドオド、モタモタした線は、いくらプロポーションが正確でも形を取る練習をしたって感じで終わりますね。 難しい寝ポーズのクロッキー。 頭からお尻にかけての線が綺麗です。 うつぶせの寝ポーズです。 体の流れは美しいので顔の表情ももう少し描き入れましょう。 あと重要なのは構図です。 紙の適当な所からいきなり頭を描かないように!(笑) その場合大抵、いらない空間が頭の上に出来てしまい、足先が詰まります。 頭は詰まっても、場合によっては少しだけ切れても大丈夫です。 却ってダイナミックな空間が出ます。 足が詰まるとすごくみっともないです。 ジュール・パスキンくらい描けるなら別ですが(笑)。 頭はギリギリ入って、足先がすこし切れた構図。 紙の矩形を意識して取った構図です。 クロッキーの練習方法として、特に何かモチーフを描かなくてもクロッキー帳にコンテなどで力を抜いて・・入れて・・もっと入れて!・・また力を抜いて・・・もっと抜いて・・という線を繰り返し描くだけでもけっこう力が付きますよ。 基礎トレみたいなものです。 是非お試しください。 アトリエヒュッテでは、2015年2月7日(土)・8日(日)で人物画ゼミを開催します。 クロッキーではなく固定ポーズですが貴重な機会ですので是非ご参加下さい。 詳しくは教室までお問い合わせください。