絵画技法 制作する時の見る位置の意識 Tweet 2015.03.12 by 哲雄先生 0 本日はモチーフの観察をする時に重要な問題をお話しします。 結構ベテランの方でも陥りやすい事があります。 (1)複数のモチーフを1つの固まりとして見る。 (2)自分の視点が固定されているかどうかの意識。 この2つは意外に守られていないようです。 (1)についてですが、これは静物画に多いのですが、モチーフが複数ある場合、全体を1つのモチーフとして意識し、その「全体」が画面にバランスよく配置されなくてはいけません。 でないと、モチーフの中の1つを適当な場所から描いて、変な「間」や、モチーフが画面から切れたりとするという失敗につながります。 両手の親指と人差し指で矩形を作り、画面に見立てて構図を取る 例えばこのように、両手の親指と人差し指で矩形を作ってモチーフを観察するのが重要です。 又は、画像のようなデッサンスケール等を使っても良いですね。 様々なサイズ用のデッサンスケール。 画面サイズに合った、色々な種類のデッサンスケールが画材屋さんなどで販売されています。 基本的な静物油彩画のモチーフ 黄色いホーローポット・葡萄・レーズンパン・ピンクの布のモチーフです。 バランスのとれた油彩画の描き出し。 この作品は3つの立体物をバランスよく画面上に配置した描き出しです (イマイさん制作)。この描き出しを見ると、作者は3つのモチーフを1つの固まりとしてとらえているのがよく分ります。 さて次に(2)の、「自分の視点の固定」も大変重要です。特に人物や、大モチーフなど、大きなものを画面に入れる時に、 毎回、ほんの少しでもずれた位置で観察して、そのまま描くと、画面の形はもっとずれてしまいます。 そのズレに気付かないで描くと形はどんどん狂いますし、気付いても直し方が分からないという方も多いです。 人物画の場合は、モデルさんが毎回完全に同じポーズは出来ませんから1回のポーズで、自分の視点を固定するイメージで、しっかり形を取ったら、それ以降のポーズで少々形が違っても気にしないで描いていきましょう。 でないとポーズごとに形が変わってそれを正直に描くとどんどんずれて、人間らしさがなくなってしまいます! 以上は普段の生活では、まず行わない観察の方法ですが、絵を描く上では何よりも重要な事だと言えます。 作者の視点がしっかり固定された人物画の例(パステル画) この人物画では、作者がモデルさんを見上げて描いた、その視点が感じられます。 体の中の距離感も自然ですね。 絵を教室で定期的に習う場合も、自分たちで絵画サークルを企画する場合も現場で描ける時間は少ないです。 1回のレッスンが終わったら日常に戻り、また次のレッスンまでその制作中の作品に関することを何もやらない、何も考えない・・・ これでは、上達するのにとても時間がかかります。 ですので、ほんの少しでもいいので毎日、絵画と触れる時間が作れるといいですね。 いわゆるプロの画家でも作品の売り上げなどだけで生活できる人は殆どおりません。 でも、何らかの方法で生活のためにお金を稼ぐ事を あまりやらなくてもいい状況を自ら作って毎日制作に勤しんでいる画家はいると思います。 しかしそういう人でも、絵はなかなか良くならないんです。 なぜなら、毎日描けば良くなるというものでもなく、つまり技術が上達しても意識が変わらないと絵は変わりませんから。 そういう意味でも、自分の絵を描く態度は色々な意味で練らなくてはならないでしょう。 日々の努力の積み重ねが大切です。 頑張りましょう!!