アトリエヒュッテのイベント クサカベ工場見学と絵具作り実習の旅 その1 Tweet 2015.11.10 by 哲雄先生 0 2015年11月2日(月)、(株)クサカベ工場見学と絵具作り実習のバスツアーを開催しました! 絵画制作で使っている絵具、いつも何気なく教室のものを使ったり画材屋さんで購入したりしますが、これはどこでどのように造られているかを考えたことがありますか? いつもの制作とは視点を変えて、画材の観点から勉強をしてみるのはとても重要です。 というわけで、大手絵具メーカー、クサカベ絵具工場見学と絵具作り実習の様子をご紹介したいと思います。 せっかくなので、旅行会社に依頼し貸切バスをチャーターし、ヒュッテ初のバスツアーになりました! 工場では工場のみの限定販売画材もあるということなのでとても楽しみですね! バス発車後に本日の予定を説明するゆりこ先生です。 みなさん、ワクワクしながらゆりこ先生の話を聞いています! みなさん資料も読みながら聞いています。 本日の参加メンバーをご紹介します。 Oさんです。 ストーンさんとサカエさん。 すずきかずおさん。 個展も終了してホッと一息でのご参加です。 和美さんと京さん。 イマイズミンさんとたじちゃん。 ますみちゃんとマムマムさん。 マッキーさんとイマイさん。 きなちゃんとヨコヤマさん。 サヨさん。 俊介とゆりこ先生。 しんがりは私、てつお先生です! 少し渋滞していたので予定より遅れましたが、無事にクサカベ朝霞工場(埼玉県)に到着しました。 まずは、広い講習会室で昼食です。 工場は2014年12月に新工場に建て替えられました。 広々とした講習会室です! 本日の昼食「和風弁当」です。 まずは腹ごしらえですね!(笑) 講習会室には私の作品も飾って頂いています。 ”Cubism Composition カンヴァスに油彩・OGテンペラ P20”です。 食事の終わったメンバーから、工場限定販売の画材を見ていきました。 新開発の油絵具「ゼファ(低臭)」や「ギルド(高濃度)」、スケッチブックも多くありました。 私の著書もありました! ありがとうございます! スタッフの方に「アキーラ」の説明をうけるますみちゃんです。 アキーラは水性アルキド樹脂絵具で、油彩とも併用が可能です。 色々な、カラフルなマスキングテープが気に入ったマッキーさん。 ゆりこ先生も筆の解説をしています。 俊介もアキーラを試しました。 アキーラによる私と俊介の合作作品ができました(笑)。 工場限定販売画材だけですごく盛り上がっています。 それではいよいよ工場見学に出発ですが、その前にクサカベの歴史を教えて頂きました。 創業者の日下部信一氏は薬局の人です。 実は絵具に使う色の元、顔料の中には劇薬もあり、それは一般的には入手できないのですが薬としてなら入手可能ですので、絵具を作って欲しいと頼まれたのがきっかけだったそうです。 意外なお話でみんなも驚いていました。 机の上には様々な顔料や媒材が並んでいます。 綺麗な色ですね。 しかしこれは後のお楽しみです。 工場見学の前に基本的な絵具制作工程の知識をお聞きしました。 ではいよいよ工場内に出発です! 油絵具の展色剤「バインダー」の説明です。 見学の態度も熱心そのものです。 高純度のリンシードオイルにチップを溶かしています。 絵具には油絵具・水彩絵具・アクリル絵具・岩絵具など多くの種類があります。 その違いについても解説して頂きました。 ミキサー工程です。 ここでは体質顔料を作っています。 体質顔料とは、一般の顔料と共に増量剤として加えられ、流動性、強度、光学的性質の改善のために用いられる無機の白色顔料のことです。 炭酸カルシウム・硫酸バリウム・水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)などがあります。 顔料と乾性油、さらに助剤を配合して大型ミキサーでよく混ぜ合わせます。 乾性油のリンシードオイルです。 粉塵が舞うため、左の機械で埃を吸い込むそうです。 ミキサー工程の係の方の説明を聞きます。 俊介も興味津々。 中ではまるで人工衛星のような円運動を行っていました。 ミキサーのかかった「グレイ・オブ・グレイ」が出来ていました。 こちらが「ジョン・ブリヤン」です。 いわゆる肌色ですね。 とても綺麗な色です。 昔はグレイ・オブ・グレイやジョン・ブリヤンを持っていると講師に怒られましたが(中間色は自分で作れ!とかエラソーに言われてね。笑)今の純度の高いものは使い勝手もいいです。 次にロール工程です。 顔料とバインダーが混ぜ合わされミキサーのかかった粗い油絵具を、「3本ロールミル」という機械で練り上げていきます。 これにより顔料の粒々がほぐれ、油と均一に練り合わされます。 そしてなめらかで光沢感のある、ツヤのある油絵具が出来上がります。 ロールの材質には、鉄・御影石・セラミックの3種類あります。 顔料によって使い分け、ピッタリの絵具が出来上がります。 ロールはこのように入念にお手入れします。 綺麗な緑が出来ていました。 ロールミルの色と似た色ですね。 3本ロールミルの説明を聞きます。 とても綺麗な緑色です。 「ジャングルグリーン」という色です。 やや染料系(フタログリーン)な感じです。 ジャングルグリーン担当のクサカベのお姉さん。 本当に極め細やかになっていく過程が分り、勉強になります。 現代絵画に使える発色の良さですね。 鉄板のお手入れもすごく丁寧です。 普段の画材でも、手入れのいい人の方が絵の上達が早いというのは本当の事だと思いますね。 武士も刀の手入れは毎日行いました。 機械そのものの形も素敵です。 次は「品質管理室」です。安定した品質を保つため、出来上がった油絵具の品質を厳しくチェックします。 色、硬さ、粒子の大きさなどを確認し、基準に合格したものだけが製品化されます。 粒子の大きさを測定する道具です。 プロの眼で見極めていきます。 絵具をパレットに薄く延ばして「基準色」と比べます。 工場には色見本となる基準絵具があります。 この色と違う絵具は製品化不可らしいです。 厳しいですね! その厳しいチェックに合格した絵具は、缶に詰めてから約1週間~1ヶ月程寝かせるそうです。 熟成させることで絵具の風合いが更に増していくのですね。 スタッフの方に品質管理についての説明を聞きます。 滅多に聞けない貴重なお話ですね。 色差計にかけられたサンプルのデータを数値化し、PCモニターに表します。 先程の粒子を測定する道具は絶対に錆びさせられないので、画面左に写っている湿度を管理したガラス器に入れて保管するそうです。 次に熟成した絵具を、「自動充填機」でチューブに詰めていきます。 「自動充填機」はまるで未来派の機械のような動きをしていました。 チューブに「ラベラー機」でラベルが貼られます。 ラベルの貼られ方がとても面白いです。 ラベルの貼られた油絵具はスタッフの方がケースに入れます。 こちらは「バイオレットグレー」です。 綺麗な中間色です。 ダンボール箱に箱詰めされた絵具は出荷を待ちます。 なんと1日に4000本の絵具が作られるそうです! 以上で工場見学は終了です。 いよいよ次は「絵具作り実習」です! その様子は次回ブログでご紹介いたしますね。お楽しみに!