こんにちは!ヤナです。
先日の買い物帰りに、ふと見上げた空の済んだ青と木々の濃い緑のコントラストが非常に綺麗で、足を止めてしばらく眺めておりました。夏はもうすぐそこだ~と思っていたら、梅雨もあっという間に明けましたね。夏の鮮やかで美しい風景を絵にできたらどんなにいいでしょうか。今年の夏は風景画に挑戦してみようかな!そんな風に思えた帰り道でした。
基礎デッサン課題 リンゴ
今回も引き続き、基礎デッサン課題の作品を紹介していきます。ちなみに課題となるモチーフは全部で6つですので、あと2回、基礎デッサン課題作品紹介を予定しています!
それでは、まずはモチーフから。プラスチック製ではありますが、本物と同じ色と形をしたリンゴの模型です。前回までに紹介したモチーフ達と比べるとずっと簡単な構造ですね。体験教室でもこちらのリンゴがモチーフに使われます。
リンゴはほとんどの方が見たり持ったりしたことがある身近なモチーフでしょう。色、形、重さ、触り心地、香りや味…すぐに思い浮かべられるかと思います。では、それらを鉛筆のみでリアルに描いてみてください!
…いかかでしょう、できそうですか?たとえどれだけ見知ったものでも、鉛筆の黒とスケッチブックの白だけでそれを表現するというのは、途方もなく難しそうだと感じたのではないでしょうか。一体どんなワザを使えば鉛筆でリンゴの色を表現できるのか!生徒さんの作品を見ていきましょう。
こちらの作品は丸山さんが体験教室で描かれたデッサン画です。
いかがでしょうか?白黒でも「赤いリンゴ」であることが良く分かりますね!全体が同じ赤色一色ではなく、黄味がかっていたり緑色が残っていたりといった違いもしっかり表現されています。
赤が強い部分は柔らかくて色の濃い鉛筆、光が当たっている部分や黄味がかっている部分は硬くて色の薄い鉛筆を使っているのかと思います。モノクロ印刷のように、鉛筆の芯の硬さによって変わる色の濃淡をモチーフの色の表現に利用するのですね。
黒色の濃淡だけではなく、線の密度の差でも色を表現していきます。密集すればスケッチブックの白色が少なくなり暗い色、間隔をたくさん取るとスケッチブックの白が目立つため明るい色、といった具合ですね。
またスケッチブックの用紙は表面がザラザラしているため、塗ると自然に凸の部分は色が濃く、凹の部分は薄くなります。それを利用することでも密度の差を作ることができるのです!ザラザラも実は重要なのですね。
デッサンは鉛筆だけではなく消しゴム(練り消し)も活用します。一度塗った部分をうっすらと消すことで光の反射を表現し、リンゴのつるっとした質感を出しています。
また、絵は平面ですがリンゴは丸い立体です。その丸さを表現するには光と影をしっかりと意識して書き込むことが重要。台から反射した光がリンゴに当たり柔らかな明るさが出ていること、反対に影の部分をしっかりと濃く塗ること、さらにそれぞれの位置関係をしっかりと観察していくことで、説得力のある絵となっていきます。丸山さんのリンゴも丸みが丁寧に表現されていますね!
台に落ちる影が、リンゴから離れるにつれて薄くなっています。こういった表現から、どの角度からどれぐらいの強さの光が当たっているのかという場面の詳細が分かってきます。
体験教室は2時間のみと短い時間ですが、メインのリンゴだけでなく台や背景も描かれています。丸山さんは高校と大学時代にデッサンと油絵を描いていた絵画経験者だそうで、手際よくどんどんと描かれていたそうですよ!限られた時間で画面内の完成度を高めているのはさすがですね。哲雄先生も褒めていらっしゃいました。
丸山さんははじめは真ん丸のリンゴを描いていたそうですが、由里子先生から「リンゴらしい歪みを観察してみて」とのアドバイスを受け、輪郭に強弱をつけることでその微妙なへこみやふくらみを表現したそう。いびつな輪郭であることが、よりリアルなリンゴの表現に適していると感じます!
以上、丸山さんのデッサン画の紹介でした。こちらの作品は2017年の8月に描かれたもので、当時はとても集中して描けたため2時間があっという間だったと振り返っていらっしゃいました。
丸山さんは現在月2回コースで通われています。家では画材を広げられないけれど、ヒュッテなら画材が使い放題だから良いね、とのこと。やっぱり画材使い放題なのは本当に助かります!
今回はデッサンの画法についてほんの少しだけ詳しく触れてみました。なんだか描けそうかも、描いてみたいかも!そう思っていただけたらとっても嬉しいです♪
それでもやっぱりデッサンは難しそう…。そんな方でも楽しめるよう、ヒュッテの体験教室ではデッサン以外にも油絵、水彩、アクリル、パステルの中からお好きな画材でリンゴを描くこともできます。ぜひチャレンジしてみてくださいね!