こんにちは!ヤナです。先日、画材店でデッサン用に鉛筆と練り消しを購入してきました。
とは言えヒュッテではデッサン用鉛筆から油彩、水彩、パステルなどの画材はすべて使い放題。今回私が購入したのは、レッスン用ではなく自宅で描く用のものです。
ひとくちに「絵を描く」と言っても、どんな道具を揃えればよいのか初心者の場合はよく分かりませんよね。自分なりに調べて買い揃えたはいいものの、それだけで満足してしまって結局使っていない…なんてことにもなりがちです。
ですがそんな不安も画材使い放題のヒュッテならばっちり解決!すべて教室で揃えられているので、毎回手ぶらでも大丈夫。
自宅でも絵を描きたいなーと思ったときも、まずはレッスンで使ったものと同じ画材を揃えれば迷うこともないでしょう。私もヒュッテで使っているものと同じ鉛筆を購入しました。
このように初めの一歩のハードルを下げ、さらに初期費用も押さえて通えるのがヒュッテの魅力のひとつなんですよ~!
基礎デッサン課題 幾何形体
さて、前回までに引き続き、必須デッサン課題の作品を紹介していきましょう。まずはモチーフの写真です。
なにやら不思議な形をしている石膏製の像です。単純ながら言葉では表現しがたい形状から、その形の特徴と画面に置いた時のパース(奥行き)を学んで欲しいというねらいで、このモチーフを課題に選んだとのことです。
さらに全体が同じ材質で白一色、壁も机の布も同系色。色も線も少なく非常にシンプルで無機質な印象ですが、この質感を鉛筆のみで表すとどうなるのでしょうか?
今回紹介するのははるみさんのデッサン作品です。受講回数は3回、約6時間で制作されました。
本体となる円錐と横から突き刺さるように伸びている四角柱、それぞれの位置関係や大きさのバランスがとても正確に描かれていますね!
石膏のずしっとした印象と、柔らかな布との差異も分かりやすいと感じます。
物の形を表現するときは、その形に合わせたタッチを上手に取り入れて。さらに白い石膏像なのでより気を使ってみてとは由里子先生。はるみさんもいつも使うものより硬い鉛筆を使うことで、たくさん線を入れても画面が暗くなりすぎないようにしたとのことでした。
柄も色もないただの白い像なのに、デッサンをすると縦横斜めと様々な方向に「線」が引かれます。「物体がどんな形をしているのか」を説明するにあたって、「見たもの」を正確に描くことは大変重要です。しかし、我々が今回のモチーフから見えているものは「線」ではないですよね?はるみさんのデッサン画では、円錐の丸みに合わせて緩やかな曲線がたくさん描かれていますが、石膏像にそのような曲線の柄があるわけではありません。作品には「像には無い線」が描かれているのです。
「見たものを正確に描く」ために「実際の像には無い線」を描き入れて表現する。線を描けば描くほど説得力が増す。私はこの事実が不思議でたまらないのですが、同時に絵を描くことの醍醐味でもあるなと思います(うまく伝わっているでしょうか)。
円錐上部のとんがり頭。小さな範囲にコントラストをはっきりとさせた影を描くことによって、上に向かってシュッと細くなっていく様子が分かりやすいですね。
円錐全体の量感(ボリューム)を表わすのが難しかったとのことですが、哲雄先生からいろんな幅でグラデーションを付けてみてとのアドバイスを受けたそうです。白から黒への変化の幅を変えることで、上部と下部の太さの違いを見事に表現していますね!
また四角柱に円錐から反射した光がうっすらと当たっていて、形状の切り替わりが起きているというのもよく分かります。
向かって右側の四角柱と円錐のつながり部分ですが、影の色を濃い部分と薄い部分できっちり塗り分けていて、物体それぞれが手前にあるのか奥にあるのかという位置関係が非常に分かりやすいですね。
像の欠けもリアリティを増すことに一役買っています。
特に説得力があって好きなのが、四角柱から円錐に落ちる小さくとも濃い影の部分。四角柱よりさらに奥にも円柱が続いているとわかるのは、この影がきちんと描かれているからでしょう。
像と布の境界をしっかりと濃く塗ってあり、それぞれが独立した別の物体であるということがここでもよく分かります。
像と同系色でありながらも布にはしっかりと濃く影をつけ、別々の素材であること、上に伸びていく像に対し布は奥に向かって広がっているということが良く表れています。
はるみさんも布と石膏像の対比がしっかり描けたとおっしゃっていました。
以上、はるみさんのデッサン画の紹介でした!この作品は入会された2014年に描かれたもので、はるみさんに改めて作品を見ていただきました。現在、ご自身の絵に強さや迫力が足りないことが悩みだそうですが、この作品は質感も線もかっちりと描けていて、自信につながったそうです!自分の過去の作品から教わることは、案外多いかもしれませんね。
ところで、デッサンと言えば石膏像、なんて印象を私は持っておりますが、皆さんはいかがでしょうか?なぜデッサンのモチーフに石膏像がよく使われるのか先生に尋ねてみたところ、シンプル故にその色、質感を描き表す難易度が高く、集中力と表現力の向上に適しているからなのだとか。私が今回のモチーフをデッサンするのはもうちょっと先になる予定ですが、実は見た目以上に、なかなか手強い相手なのかもしれません。