現在、千葉県佐倉市の川村記念美術館で開催中の「モーリス・ルイス展」に由里子先生とSちゃんも連れて行って来ました。20日は佐倉のホテルに一泊し、本日21日の朝から鑑賞しました。JR佐倉まで遠いし、さらに佐倉駅から送迎バスで約30分・・・なかなか遠かったです。ちょっとした小旅行ですね。
泊まったホテルの部屋の一角
川村記念美術館は元々アメリカの抽象表現主義の作家コレクションで有名です。マーク・ロスコの壁画やバーネット・ニューマンの大作「アンナの光」が所蔵されているのは素晴らしいです(ロスコの壁画は只今テート・ギャラリーに貸し出し中で閉鎖されています)。
さてモーリス・ルイス(1912-1962)とは、「てつお先生が1番好きな画家は誰ですか?」と聞かれた時に私が1番だと答える画家です。その他、何人かいますが、やっぱり1番はルイスです。アメリカNYを中心に展開した抽象表現主義の作家達より少し後に活躍しているのでよくモダンな色彩画家とか分類される事も多い人ですが、間違いなく彼は抽象表現主義(後期)の画家ですね。ルイスの経歴や展覧会の内容は川村記念美術館HP に詳しく出ていますので参照してください。
その不思議な作品は自然や宇宙の力に匹敵し、絵画を超える本当の絵画を体験させてくれます。「優れた絵画」という芸術は、まだ探せばあるのですが、「絵画を超える絵画」は、他には例がないでしょう。ヴェイル、フローラル、アンファールド、ストライプス、ホライズンなど、彼の作品の全シリーズ根底に流れる思想だと思われます。彼の作品の前に立つと、「神」を身近に感じます。それも「絶対神」です。数ある芸術の分野でこのような意識が表現できたのは、一瞬の視覚体験で全ての情報を与えられる絵画のみです。
カタログを買うと、彼の秘密の制作方法についていろいろ最近の研究で分かった事が小論文で書かれていてそれはそれで大変興味深いです。又、会場にはルイスが使ったアクリル絵具「マグナ(テレピン油で溶かせるアクリル絵具・現在は廃盤)」のチューブや当時のチラシ、「ルイスのアトリエの実寸のスペース」など興味深い展示があります。しかし、ルイスの作品は、マティスの最上の作品と同じく、観者を沈黙させる力があります。我々は、その崇高なる視覚的な体験を、ただ受け入れれば良いのではないか、今回も結論としては、そう感じました。
本日GETしたルイス展カタログ、抽象表現主義の画集、絵葉書、展覧会チラシなど。
Sちゃんを抱っこしつつの鑑賞は少々くたびれましたが・・・(笑)
展覧会は11/30(日)までです。遠くてもそれだけの価値があることは請合いますよ!
TOP画像はアンファールドシリーズの展示風景です(川村記念美術館HPより)。