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薫さんの新作油彩画! ヴァイオリンとうさぎのモチーフ

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薫さんの新作油彩画のご紹介です。F6サイズです。

1.構成と視線の導線

• 中心に置かれたウサギとヴァイオリンが、視線を自然と引き寄せます。ぬいぐるみという柔らかい存在が楽器を持つことで、無垢と芸術の交差点が生まれています。
• 赤い花瓶と桜の枝は垂直の軸を作り、画面に高さと動きを与えています。枝の広がりが、ウサギの静けさと対照的に空間を広げています。
• 黒いヴァイオリンケースと緑の円形箱が水平の安定感をもたらし、構図全体にバランスを与えています。

2.色彩と質感

• 背景のパステル調のグラデーションは夢幻的で、現実と幻想の境界を曖昧にしています。まるで記憶の中の風景のようです。
• 赤・ピンク・緑・青・黒といった色彩が、互いに補完しながらも、どこか「語られない物語」を感じさせます。特に赤い花瓶とハート型のオブジェが、感情の核を暗示しているようです。

3. 象徴と物語性

• ウサギがヴァイオリンを持つという設定は、童話的でありながら、どこか孤独や祈りのような静けさを感じさせます。演奏されることのない音楽、語られない物語の様です。
• 桜の花は日本的な季節感と儚さを象徴し、生命の一瞬の輝きを思わせます。
• 緑の箱に描かれた鳥と花は、閉じ込められた自然、あるいは記憶の断片のようにも見えます。

4. 感情と余白

• この絵には「語られない関係性」が多く含まれています。ウサギとヴァイオリン、桜と花瓶、箱と鳥。それぞれが何かを象徴しながらも、直接的な物語を語らない。
• 余白の使い方が巧みで、見る者に「問い」を投げかけます。「曖昧さの肯定」や「制度の裂け目への問い」とも響き合う部分ですね。

5.総評

この作品は、静物画でありながら「静物」ではなく、「語られなかった感情」や「演奏されない音楽」を描いているように感じます。ウサギの無表情さ、桜の満開、閉じられたケース、装飾された箱——それぞれが「何かを待っている」ような気配を漂わせています。

薫さんの次回の作品も楽しみです!

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