この水彩画は、しっかりとした構図と、色彩のコントラストがとても魅力的です。
まず、赤い暖簾と緑色の布の対比が画面全体にリズム感を与えています。
鮮やかな赤と落ち着いた緑は補色関係にあり、互いを引き立てる役割を果たしています。
中央に配置された黒っぽい花瓶と白い花のバランスが絶妙で、観る人の目を自然に中心へと導きます。
特に花瓶の紫のアクセントが、色のトーンに深みを加えていて、控えめながら印象的ですね。
埴輪の馬の置物の描写が素晴らしいです。土の質感や重量感がしっかり表現されていて、花瓶の繊細さとのコントラストが静物画としての奥行きを生み出しています。
埴輪は、素朴で原初的な造形美や、時を越えて語りかけてくる静かな存在感が魅力で、アトリエヒュッテでは、よくモチーフに使用しています。
モチーフの「馬形埴輪」が時代や素材を越えた精神的な連続性を作品に表現しています。
また、色面や陰影の柔らかさにも、土器や埴輪の質感に通じる「間(ま)」や「余白」の美しさが漂っています。
最後に、画面左下の”A. Hiromi”というサインが、アーティストの個性を感じさせます。
この作品は、色彩、構図、質感表現のバランスが非常に整っており、静けさの中にも強い存在感がある一枚です。
是非実物をヒュッテ展で観て下さいね!
第12回 アトリエヒュッテ展(創立25周年記念展)
展示期間 2025年6月22日(日)~6月28日(土) 10:00~18:30
初日は11時スタート、最終日は17時まで。