俊介君の静物油彩画のご紹介です。F10号です
この油彩画には、緊張感と静けさが共存する、非常に深みのある世界観が描かれています。
まず、中央の頭蓋骨が強烈な視線を集めます。死を象徴するモチーフとして古典的な「ヴァニタス(Vanitas)」の系譜にある構図とも言えそうですね。
けれど、背景が真っ黒であることにより、死の重さが過度に説教的になることなく、むしろ静かで美しい静謐さをまとっています。
その右の貝殻の存在が印象的です。硬質でありながらも曲線的で有機的な形は、頭蓋骨の冷たく直線的な印象と対照的で、「生と死」「自然と人為」を暗示しているようにも感じられます。
また、左の羽のオブジェも重要な役割を果たしています。軽やかさや精神性といった意味合いを帯びさせ、絵全体に象徴的な三角構図を形成して視線を安定させています。
質感描写も見事です。赤い布の描写には、布地の重みと流動感があり、絵の中に触覚的なリアリティを与えています。特にガラス瓶の青と、赤い布との色彩のぶつかり合いは、緊張感と美しさを生み出す好例ですね。
これは単なる静物画ではなく、「時間の停止」と「存在の意味」といった哲学的な問いを感じさせる作品です。とても印象的で、何度見ても新しい気づきを与えてくれる一枚だと思います。
是非ヒュッテ展で実物をご覧ください!
第12回 アトリエヒュッテ展(創立25周年記念展)開催中!
展示期間 2025年6月22日(日)~6月28日(土) 10:00~18:30
初日は11時スタート、最終日は17時まで。
場所 相模大野ギャラリー