さて今日は私が新宿M絵画教室で指導していますERIちゃんの新作油彩画のご紹介です。大変見事な描写力と構成力で、魅力あふれる画面になりました。この作品はM絵画教室の会員作品展の為に制作しました。モチーフは籐椅子に青い布をかけて、そこに少年像と五位鷺の剥製、ベネツィアの仮面を乗せました。バックには背広とネクタイを配置するという凝ったモチーフです。仮面と背広・ネクタイはERIちゃんがご自分で用意された私物です。
メインの剥製ですが、このように大変緻密に描写されています。細密描写と言っても過言ではありません。キャンバスの目を生かして、自然な色彩を感じさせてくれます。後頭部の長い毛と、眼に緊張感があります。
少年像もとてもしっかり描かれています。立体感がよく出て、確かなデッサン力が感じられます。あどけない表情も魅力的ですね。像の輪郭なども丁寧に追っているので背景の空間としっくり馴染みます。頭髪に入ったアクセントの赤が効いてますね。
この仮面の額にはカナレットの風景画が描かれています。とても細かい品で、全体に入る亀裂もアンティーク感を出すためにわざと付けてあります。画像では少し分かりにくいですが、この仮面には多くのクリスタルな、ダイヤモンドカットのプラスチック部品が貼り付けられています。実物を見るとそこが立体的に強く輝いていて、大変に不思議な感じです。
背広とネクタイの描き込みも繊細です。まるで布地を編むように縦横に細いタッチが交差しています。ネクタイの柄は右のバックのストライプに反復されています。ハンガーの表情が単調になったのが惜しいところです。この画面の中でハンガーは意外と重要なポジションですので、気を抜かずに表現しようね!!
右上のバックですが細かい亀裂を描きました。仮面の亀裂に対応しています。サインも良い位置にありますね。
左のバックには背広の襟の形が現れます。一見革製品のようです。ストライプも幅や角度を変えて再び現れます。しつこいくらい描いているのがこの絵の魅力です。ERIちゃんはフォービズムゼミを体験する事により色彩もかなり自由になりました。
籐椅子の部分です。明暗をきちんと押さえたので構造がしっかりしました。これなら少々重い人が座っても支えられるでしょう(笑)。この肘置きのバックは黒が有効ですね。今までERIちゃんが培ってきた実力を余すところ無く発揮した作品だと思います。
ERIちゃん、大変素晴らしい作品の掲載を許していただきありがとうございました!!これからの益々の発展を期待していますね。
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