私が新宿M絵画教室で指導しているO澤さん、ヒュッテのコラージュ・ゼミにもご参加頂きましたが、昨日新作油彩画を完成させました。この見事な描写と構成力、色感の作品をご覧下さい。モチーフは大きなアンティークガラス花瓶、銅のコーヒーミル、小さいヴィーナスの頭、百合、アジアの柄布、赤布、青布です。
百合の花の緻密な描写です。絵具がたっぷり乗って重厚であり、花びらの軽い感じもあり、見事な表情になりました。
その百合の左にはO澤さん独特の色彩構成の世界が!!単純でいて奥の深い構成になっています。赤布の結び目にも注目して下さい。シンプルで無駄のない表現です。
布の下部には壊れたミロのヴィーナスの頭があります。赤と白のコントラストが効いていますね。左は海岸の風景になっていて、黄金色の波が赤布まで、そして青布にまで浸食し、一見キリコ風なシュルレアリスムの世界です。
中央の立派なアンティーク花瓶ですが、このようにガラスが割れています。割れたガラスの断面、そこから覗く発色のいい黄色がこの作品の中心とも言えます。割れたガラスは。デュシャンの大ガラスのように、時には凄まじいパワーで我々に迫ってきます。
丁寧な描写のコーヒーミル。ウィンザー・ニュートン社の銅とブロンズの絵具で仕上げました。表面の浪打模様、金色のドームの反射も見事です。
右側はバリ島の装飾模様の布なのですが、その中の木が青い布の中まで入り込んでいます。突飛なようでいて、作品の中では上手く溶け込んでいます。そのへんがO澤さんの上手さですね。
黄色い空を飛ぶバリの伝説の鳥と花です。鳳凰に通じる所がありそうです。
画面の下にはガラスの破片があります。先程の黄金の波の終着点です。このアクセントが画面全体を引き締めていますね。花瓶のユニークな足も面白く、そこに入る鮮やかな緑がこの絵を更に色彩豊かな作品にしていますね。流石はO澤さん。今年の締めとなる作品が仕上がりました。これからの制作がますます楽しみですね!!