演習コース

第62回 演習コース(2018.3.10開催)「日本の抒情歌を描く2」

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第61回、62回の演習コースは「日本の抒情歌を描く」です。
明治・大正・昭和・平成と歌い継がれてきた「日本のうた」を絵画を通して表現するのが目的です。
詩の絵画化とはまた別の、旋律のある歌をどのように絵画で表現するのかが重要です。
抒情歌といいましてもかなり幅広く、「さらば青春」「世界で一つだけの花」なども含まれます。
画材・支持体は自由、最大サイズはS10号です。
 
本日は2回目ですので、みなさん描き進めて来られました。マーちゃんの作品をみんなで鑑賞しています。
 

ディスカッションの時間まで作品に手を加えるサトミちゃん。
面白い作品になりそうです。
 

マーちゃん、コンセプトのはっきりした作品です。
 

きなちゃん、歌の方も凝った額を作りました!
作品も迫力が増してきました。
 

本日は4名のご参加です。
緊張感の漂う教室です。
 

ではディスカッションの始まりです!
サトミちゃんは財津 和夫の「サボテンの花」を選びました。
ボードにアクリルで描いています。
一つの出会いが終わる歌なのですが、サボテンの花言葉は「永遠の愛」。
そのギャップが面白く、絵のヒントになったそうです。
 

「サボテンの花」の歌詞です。
白く、大きな花をサボテンの花にする予定です。
 

歌詞と画面を並べて見ます。
また新しいインスピレーションが見つかりそうです。
画面の右、落ちる水と水紋が綺麗ですね。
 

コンセプトを丁寧に説明するサトミちゃん。
真剣なまなざしです。
 

エスキースです。
サボテンの花の表現のイメージがよく伝わりますね!
花をかなり大きく描く予定です。
 

続きましてきなちゃんです。
沖縄(うちなー)の歌「芭蕉布」を最終的に選びました。
沖縄出身のきなちゃんにとってとても特別な歌です。
バナナと芭蕉布が同じ仲間だと言うのも驚きでした。
「帰りたい・・・でも帰れない」の気持ちを画面左上の赤い瓦屋根が表現しています。
黒のコラージュの葉が加わっても面白そうです。
 

芭蕉布の歌詞を書き起こして額装しました。
虹色の額はきなちゃんが工夫したものです。
字もとても味があって、この画面に合っています。
2点の相性もとてもいいですね!
 

歌詞と画面を並べて見ます。
また新しいインスピレーションが見つかりそうです。
 

マーちゃんの作品です。歌は「春の小川」。
 
「春の小川は さらさらいくよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
さいているねと ささやきながら」
 
この詞の舞台になった清流は東京の真ん中、今の原宿から渋谷に流れる宇田川の支流の河骨(こうぼね)川になります。
宇田川は小田急線代々木上原駅付近や、渋谷区初台2丁目代々木郵便局裏手付近の谷を源流とし、京王線初台駅南側付近から流れる河骨川と富ヶ谷方面の支流を小田急線代々木八幡駅付近で合わせ、さらに富ヶ谷、松濤などからの幾つかの細流を合流して、渋谷駅東口北側にて渋谷川に合流する小河川でした。
渋谷区「宇田川町」はこの川に由来します。
 
宇田川や河骨川は、かつては水車が回るのどかな小川で、文部省唱歌(4年生)「春の小川」(高野辰之作詞 林柳波改詞 岡野貞一作曲 ) に出てくる光景そのものだったようです。
しかし、戦後の高度経済成長時代には家庭排水の流される汚れた川となり、東京オリンピック(1954年)前後にかけて、細流部分はマンホールに、川幅の太い部分は「フタ」をした「暗渠(あんきょ)」となり、その上を道路や遊歩道にしました。
マンホールや暗渠となった宇田川は、その流路をそのまま東京都の下水道の一部として使用され、現在でも雨水等を集め、地底を密かに流れています。
高野辰之がイメージを膨らませたと言われる河骨川のほとりには記念碑がありますが、小田急線の真横に位置し、残念ながら、昔を偲ぶ面影はありません。 場所は渋谷区代々木5-65付近です。
 
この、昔を偲ぶ面影をカラーで表現し、現在の状態をモノクロームで表現しました。一般的なモノクロミーとポリクロミーの意味とは逆にした所にセンスを感じます。
 

歌詞を和紙に書いて折紙をコラージュしました。
 

歌詞と画面を並べて見ます。
また新しいインスピレーションが見つかりそうです。
マーちゃんもまだ制作中ですので、完成が楽しみです。
 

マムマムさんの作品「サーカスの唄」です。
すごく凝っていてもう脱帽です!
テーマである「ピエロのさみしさ」をとてもよく表現できました。
額を2重にし、そこにも絵を描いているという表現はなかなかありません!
 

「サーカスの唄」の歌詞です。
ピエロや、サーカスの団員の楽しげな演技の裏にはこういう哀しみがある。。と読み取れます。
 

実に完成度が高く、レベルの高い作品です。
象やライオンのだまし絵的な表現も流石です。
 

ご自身のコンセプトを解説するマムマムさん。大変質の高い表現に一同驚きでした!
今回の課題ではそれぞれの作品が全く別の表現であること、また、コンセプトの解説が大変分かり易かったのが素晴らしいです。本日はご参加できなかった、すずきかずおさんの作品も楽しみですね!
 
さて次回の第63回演習コースは2018年4月7日(土)17:00からになります。
ご参加ご希望の方はお問い合わせ下さい!

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